祖父名義の不動産の相続放棄をしたい、最近2回続けてそんな相談を受けました。
相続放棄は3か月以内というのはわりと皆さんご存知です。
先日お父さんが亡くなった、書類を見たら10年前に亡くなった祖父名義の老朽化した家屋があったというようなケースです。
お父さんが亡くなったのはつい先日だから相続放棄ができるんじゃないか、相続放棄できると人から聞いた(誰に聞いた?(ーー;))というような相談です。
これができるのは再転相続の場合です。
再転相続というのは、祖父が亡くなって3か月の熟慮期間中に父が放棄も承認もせずに相次いで亡くなった場合です。再転相続であれば孫は祖父の相続を放棄することができます。祖父の相続を放棄して父の相続は承認するということもできます。
これに対して相談のケースは数次相続と言われるものです。10年前に祖父が亡くなって父が熟慮期間内に相続放棄しなければ父は祖父の相続を単純承認したとみなされます。
父が単純承認しているのですから、子はもはや祖父の相続を放棄することはできません。ただし父の相続を放棄することによって祖父名義の老朽家屋を相続するのを免れることは可能です。父の相続を放棄すれば祖父名義の老朽家屋だけでなく父の遺産を一銭たりとも相続できません。
3年後に相続登記が義務化される法律が施行されるようです。
相談のようなケースでは10年前に祖父が亡くなった時点でお父さんがきちんと相続手続きをして売るなり取り壊すなりしておくべきだったのです。